
■ この度の訓練センター開校にあたり、日本政府と在瀋陽日本国総領事館ならびに関係者の皆様のご支援に心より感謝申し上げます。
中国の農業が今後持続可能な発展を遂げていくためには、農業とともに農村の持続可能な発展が図られなければ成りません。農民が経済的、文化的に満足できる水準を獲得し維持することが特に重要です。急成長を続ける中国ですが沿海部と内陸部農村の所得格差は広がる一方です。
今後の農業生産の拡大と、農業収益の改善が化学肥料や農薬の多用、遺伝子組み換え技術による開発よりは、むしろ環境保全循環型の有機農業による複合経営の普及や人材育成によるその普及や農耕技術、畜産技術の改善によってもたらされるものと考えています。
中国農産物の残留農薬問題等は中国国内においても重要な課題です。WTO加盟によって安全性の確保が中国農政の重要な課題として位置づけられ、量から質へと農業の方向性が求められている中、中国農業は未だに日本と比較すれば30年ほど立ち遅れているのが現状でしょう。
しかしその反面、中国東北部には広大で化学汚染されていない自然環境や農耕地、豊富でしかも低賃金の労働力という有機農業の好条件を有しています。
農畜産物およびその加工品等が中国から日本へ供給される構造は、国際グローバル化が形成されている現状を考えれば、食品の安全性向上は中国と日本の共通課題でもあります。
日中相互に環境保全や農畜産技術の人材交流、人材育成を図り、官民共尚一層の取り組みの強化が必要です。交流による相互理解は両国の国益にもなるものと確信しています。
今後も優秀でガッツのある人材育成と、技術支援により地域農業振興に役立つ訓練施設となるよう努力する所存です。今後も引き続きご支援いただきますようお願いいたします。
日中有機農業訓練センター
代表 稲葉 優慈